バックパッカーズ的ブログ
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漆黒の闇
地図で見る限り、一番近い道だと思って向かった
東海道との合流地点。
しかし、自転車は通行不可だった。
落胆したが、休憩後、来た道を戻り別のルートに向かった。
それ以外無かった。
そのルートに入った瞬間、目の前が真っ暗になった…
それは日が落ちたと言う事だけではなかった。
山の中に続く坂道だった。
それも、かなり細い。
車道の横に引いてある歩行者用の白線は、
自転車や歩行者の為の物ではなく、
ここが道幅ギリギリであって、その先は落ちる!
と言う事を確認する為の線でしかなかった。
つまり白線の外側に走るスペースは僅か。
坂とカーブ
(写真はビデオから)
すぐさま立ち尽くしてしまった。
マズイ…
膝のせいで漕いで上る事など考えられず、
しかし車はコンスタントにガンガン走り抜けている。
日没と言うコンディションがいっそう厳しさを案じさせた。
山を見上げると、かなり高い位置に車の走る光が…
「あんな所まで行くのか!?」
実際は途中いくつかの道が山の中を通っているので、
どれかは?解らない。
その場でもう一度地図を確認したが選択肢は無い。
押してでも行くしかなかった。
スタートから押して歩き出し、後ろを振返りながら、
坂が緩くなれば乗り少しでも早くこの状況から抜けようと
必死に漕いだ。
しかし、うねる道は、その先を見せない。
次第に辺りは暗くなり、
街頭は無くなった
その分、車の数も減ってきたが、それはそれで困る。
車のライトのおかげで見えていた道路が、
全然見えないのだ。
自転車に付いてるライトなど全然道を照らすには及ばず。
恐ろしかった。
しかし、
空を見上げると
空はこの山の中よりも明るいのだ。
それを見て、あと何処までが真っ直ぐで、カーブなのかを
確認しながら進む。
ふと思い出して、バックパックから
マグライト
を取り出した。
持っていて良かった…
これはかなり強力で足元もその道の先もしっかり
照らしてくれた。
これを片手に握り進む事に。
しかし、あまりに長い…
行けども行けども、明るくはならない。
ふくろうなどの野生の鳴き声と
車が去った後の静けさは嫌がおうにも緊張感を誘う。
やや緊張
色々考えながら歩いていた。(走ってもいた)
もし行方不明になったら、いつ発見されるかな?
この道間違えてて全然逆だったら今日は諦めるかな?
一人で怖いが、一人で良かった…
彼女とか連れてなくて良かった…
似たように自転車乗ってて焦りまくってる奴いないかな?
このライト電池切れたらどうしよう?
とは言え、どこかその緊張感と初めての状況を
楽しんでいたような気がする。
でなきゃ、ビデオや写真なんか撮ってないだろうし、
どこかこう言う難所を期待していたんだろうな。
山場と言うか…
文字通り…
そしてようやく一番高い所へ着いた。
木々が無くなり、目の前に広い視野が広がった。
真っ暗…
上の写真では恐らく解り難いのだが、
肉眼ではもう少し明るく見え、
薄暗いが、月明かりか、街の明かりか、空の明るさが
辺りの茶畑をシルエットで形取っていた。
それが360度。
美しいのとは違う。
神秘的な光景だった。
普通に考えたら、やはり怖い状況に変わりは無かった。
が、それも何か違った。
恐怖感や緊張感はスッと抜け、
全身の力が抜け。
笑いがこみ上げた。
誰もいない。
俺は大声を出して笑った。
意味不明な言葉を沢山発した。
とにかく嬉しかったのだ。
そこにいる事。
それを見れた事。
生きている事。
俺しかいない事。
旅を続けて良かった。
そこからは下り。
実はそれも簡単ではなく、同じく長い…
おまけに暗いので、時折分岐する地点を
見落とし何度か道を間違えては戻った。
スピードはドンドン上がり、曲がり角から対向車。
時には猫も飛び出してくる。
そして寒さ。
やっとの思いで街らしき所に降り、菊川と言う場所で休憩。
あまりの緊張感から心身ともに疲労困憊。
一つ先の掛川で宿に泊まる事にした。
で、そこからも結局は真っ暗…
これまたエラく時間かかって、
夜12時に到着。
ピース
この旅最後の宿なので、
いい部屋に泊まった。
この日一日の走行距離は約95km
Ryuta
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