バックパッカーズ的ブログ
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
さくら
やっと暖かくなってきたな~!
今週末は花見日和になるかもな。
さて、日数も経って話は随分飛んで、
役者人生の続き・・・
と言う訳で(?)
僕は演劇の大学(短大)を2年で卒業後、
更に2年間の専攻科と言うところに進む。
(因みに専攻科は1年で中退した)
その時は授業の時間にも余裕があり、
商業演劇の舞台で仕事をしていた。
写真は意味無し
と言ってもセリフなどはたいしてなく、
言わばエキストラのようなものだった。
超有名座長の1ヶ月公演で、
毎日公演、時にはマチネソワレで大変だった。
僕は大部屋で20人くらいの役者達と
朝から晩まで生活を共にする。
最年少のオレから見れば、20代後半の先輩と
おっさん達。
朝楽屋に入るなり、ジャージに着替えタバコをふかし
漫画や新聞を寝転がって読む姿。
それが、出番が終わるや否や、休憩になる度、
その状態になる。
和気あいあい、楽しい雰囲気だし、悪くはなかったが、
どこか許せないと言うか、
数日で嫌気が差した。
「この人達がいつまでも大部屋なのは、
この怠惰な雰囲気が理由だ・・・」
当たり前のように、だらしない格好で
少年誌や週刊誌を読みながら時間を潰している。
時にはオレに向かって説教を垂れたり、
「俺は役者だけじゃなく、音楽もプロなんだぜ!」
などの自慢話。
中には良い人や話が解る若い先輩もいたのだが、
とにかく楽屋にいるのが酷くストレスになってきた。
3日目くらいから、人目の付かない
階段の踊り場でバーレッスンや筋トレをするようになった。
朝来てすぐ、休憩中に、次の公演までの空き時間、
欠かさずやり続けた。
途中、先輩に見つかり、時々2人でやる時もあった。
しかし基本的に一人。
そして公演も中日を過ぎ後半に入ったある日、
だらける事を避け続けたハードな日課に疲れが出たのか、
休憩中その階段近くで寝てしまったのだ。
休憩明けの3分前、即出番のあるオレがいない!と
楽屋はちょっとした騒ぎに・・・
その時、たまに一緒にトレーニングをしていた先輩が
「あそこだ!」と気が付き、大急ぎで探しに来た。
「竜太!起きろ!出番だぞ!!!」
オレは飛び起き楽屋に走る。
すると大部屋には数人の先輩役者達が、
オレの衣装、カツラ、小道具を準備して、
入るなり一気に着替えさせ、
「行って来い!」と。
その間数十秒。
オレは間一髪で間に合ったのだ。
出番が終わり楽屋に帰るなり平謝り・・・
楽屋はそれでも爆笑の和やかな雰囲気。
その時、オレは皆を軽蔑していた事を恥じた・・・
彼らはプロの役者であり、誇りと絆と優しさがあった。
それは普段のそれには見る事が出来ない姿だった。
生意気な若僧の失敗より、舞台のミスを許さない選択と
思いやり。
「役の大小ではなく、役者の大小にこだわれ」は
ここにもあった。
次の日オレは大量の差し入れを大部屋の皆さんに
持って行ったのだった。
おしまい
Ryuta
PR